河川：匹見川 場所：匹見町付近（島根県益田市・匹見町・日原町） 時間：15:00〜18:00
天気：晴れ 水量：やや増水 水温：22℃ 水質：澄み
人出：少ない 釣果：1尾（25cm）厚木のS先生、道楽亭鮎狂さんと、再び島根へやってきました。
昨年来ていて、道路も大体知っているので、今回は、飛行機から下りて、まっすぐ漁協に向かいました。
漁協のおじさんによれば、すでに網が始まっているといいます。でも、網が入っているから釣れないという人と、網が入っているから釣れる（網で脅されて魚が瀬に入る）という人がいて、まちまちだとか。
また、本流の高津川も、支流の匹見川も、型・数ともに同じくらいとのことで、「だったら、水がきれいな匹見川に入った方がいいだろう」と、三人の意見が一致しました。
釣れそうな場所を漁協で聞くと、澄川発電所より下流域がいい、と言うので、適当に天然オトリを2尾ずつ買って、出発しました。川を見ながら、良さそうなポイントを探しますが、そんなところには、必ずと言っていいほど人が入っています。「平日なのに、何でこんなに人が多いんだ？」と辟易気味です。
関東の川と違って、一人や二人なのですが、これだけ空いていると、逆に入っていくのが憚られるのです。
たまに、見た目が良くて、人が入っていないポイントが見えるのですが、今度は川への下り口が見つかりません。
匹見の流れに沿って、東奔西走。結局、午前中は場所探しで終わってしまいました。移動中の出来事を一つ・・・
車を道路脇に止めて、川を覗くときに、必ずついてまわる憎いヤツがいます。アブです。東北のアブと違って、数は4〜5匹と少ないのですが、何しろ大型。おまけに黄色いので、よーく見ないとスズメバチと間違ってしまいます。（たまに、スズメバチも混じるから、下手に手出しできず）
ヤツらは、車を移動すると、一緒についてくるのです。ガソリンの臭いに反応するのか、車の温度に寄って来るのか。
私は、子供のころに、よっぽど足長バチに刺されたので、刺す虫は大の苦手なのです。さーっと車から出て、すぐに遠くまで移動して、乗るときにも、ドアからヤツらが離れた隙を見計らって乗る、という、情けない格好。でも、こっちとしては、必死なのです。そんな苦労をしながら、ようやく見つけたのが、上に大淵を構えた瀬のポイント。
道路と川は、およそ10mの高低差。道路脇に、壊れかけた鉄ばしごがあったので、オトリ缶をリレーで受け渡し、まずはオトリを川になじませます。
再び道路に上がって、一応、上はどうなっているのだろうと、道路から見下ろすと、上流は淵が続いて、釣りになりそうもありません。あきらめて帰る途中、「あっ」立派なコンクリートの階段があったのです。さっき苦労したのは、何だったの？身支度をして、遅い昼食の用意をしていると、先に釣っていたおじさんが、川から上がってきました。
話をしてみると、地元の漁協組合員だそうです。「今度来るときは、連絡をくれれば、状況を教えてあげますよ」貴重な出会いでした。さて、車のエンジンを切っておいたので、アブはどこかにいなくなりました。落ち着いて食事をとって、いざ、釣りです。
道路から見ると、壊れかけのはしごの下に続く瀬が一番出そうだが、さっき見つけたコンクリートの階段の下に、幅5m、長さ2mほどの小さい瀬？がある。流れはきつい。しかも、淵と淵をつなぐだけの、ただのホソなのである。
しかし、いや、それだけに、ここは誰も竿を出していない、則ち、釣れるだろう、と読んだ。釣れるにしても、1,2尾だろうが。
一番のオトリはここに入れることにして、さっき沈めたオトリ缶の元へ。
すると、鮎狂さんが、「オトリがダメになってるよ！あと何尾かは大丈夫だけど」
えっ？とオトリ缶を覗いてみると、「ほんとだ」半分以上のアユが、腹を見せて浮いている。後で三人で話した結論は、(1)天然オトリといっても、何回も使っているものがいるので、よく尻びれを見ないで選んでしまったこと、(2)漁協の水槽と川の温度が違っていて、水慣らしをしなかったので、ショックで浮いてしまった。である。
原因は原因として、使えないオトリを使ってもしょうがない。なんとかヘトヘトながら泳いでいるアユ1尾を引き舟に移し、さっきの瀬へ向かった。S先生がそばで見ている。掛けて、いいところを見せなくては。
ハナカンを通して、上流から流し込むようにしてオトリを瀬に入れると、一発必中！ガガーン！一気に持っていかれたが、すぐ下が淵。ほとんど下らずに、竿が立つ。
しかし、いい引きだ。全然浮いてこない。大物の気配だ。
横ではS先生が見ている。早く取り込みたい。ぐいぐい引っ張られるのに対抗して、こっちも無理やり竿で岸に寄せる。と、ふっ。すーっと仕掛けが上がってきた。オトリが見えた。ハリが見えた。その下に、アユは、見えない。無念の身切れ。
これで、オトリは口をぱくぱくするだけとなってしまった。
同じポイントに、オモリを2つかませて入れてみたが、もちろん反応はなし。ああ、何やってんの。このオトリは、もう使えないので、オトリ缶にヒレを動かしているアユはいないか、と空けてみる。なんとか1尾、腹を返していながらも、胸びれを動かしているオトリを発見。泳ぎはしないが、オモリを付ければ、沈んでくれるだろう。
はしご下の平瀬に、ハナカンから20cmのところとハナカンのすぐ上にオモリを付けたオトリを入れ、流れに乗せながら、竿を左右に動かして、野アユを誘う。
しばらく粘ったが、しかし、追い気のある野アユには出会えなかった。そんなことをしていても、一日を棒に振ってしまう。と思っていたら、下で釣っている鮎狂さんが、抜きの構え。そして、良型をタモ受け。
すかさず近づいて行き、「オトリください」
しかし、鮎狂さんも1尾目のアユとのこと。しかも、アユルアーで釣っているらしい。やっぱり、オトリがダメになったそうである。鮎狂さんがダメなら、S先生はどうか？と、さらに下にいたS先生の元へ。
やはり、先生は先生なのである。すでに数尾の良型アユを掛けていた。「1匹ください」とおねだりして、オトリを分けてもらう。そして、鮎狂さんの釣っている瀬の上の大岩ポイントへ。
オトリを泳がせて、岩の下のたるみに入れると、グルングルン！ギューン！10mくらい引っ張られて、寄せ取り。タモに入ったアユは、大アユの25cm。思わず、鮎狂さんに向かって「デッカイですよ」と叫んでしまった。
でも、釣れたのはいいけれど、これではオトリにならない。再び、さっきのオトリに登場してもらう。弱っていないか心配だったが、大丈夫。すぐに野アユを掛けてくれた。これも、デカイ。頑張って抜き上げる。「よいしょ！」
しかし、タモの手前で、空中分解！あああ、無理せず寄せれば良かった。鮎狂さんに見られて「何やってんの」としかられてしまった。
またまた同じオトリの活躍。ほんとに苦労掛けます。
しばらくアタリが遠のいたが、流れの緩いところで、目印を引き込むいいアタリ！よっしゃあ！竿を立ててためる。のだが、途中で身切れ！今日は、こんなのばっかりだ。大岩周りでは、バラシばっかりなので、鮎狂さんの釣っている下の平瀬でやってみることにした。深いところではへそまで水があり、なかなかのポイントだ。
しかし、そのなかなかのポイントは、ぶんぶんのポイントでもあった。
ヤツだ！あの、黄色い憎いヤツ、アブだ。常に周りにいるわけじゃないが、ブウンブウンとあちこち飛び回り、釣りに集中できない。必然的に、根掛かりやエビが頻発する。
困ったことに、それでオトリを手元に寄せてきて、逆針チェックをしていると、どこからともなくやって来るのだ。かがんだ人間に寄ってくるらしい。
最悪なのがエビ。逆バリが外れていない場合は、口に掛けバリが掛かっていたりして、ただでさえ、外すのに一苦労だ。それなのに、かがむとヤツが来る。オトリを水に浸けて作業しないと、さらに弱らせてしまう。どうしよう。
ええい！仕方ない！オトリが弱るのは覚悟、嫌なアブが寄ってこないことが第一条件だ。立ったまま、目の前で作業をする。ヤツは、来ないが、オトリは、弱る。私は、困る。そんな苦労をしていたのに、とうとう、やられてしまった。
ついつい？釣りに集中しているときに、ん？なんか腕がちくちくするな。と思ったら、うおぉぉぉぉぉぉぉーっ！チュウチュウされてる！
慌てて払うが、ヤツは涼しい顔で、どこかへ行ってしまった。くっそー
これで気が済んだろう、と半ば安心していたのだが、ヤツは、しつっこい。またブンブンとやって来た。黄色いので、スズメバチと見間違えてしまう。もう、いやーーー！と、とうとう、首まで水に浸かって避難。スズメバチなら、これでどこかへ行ってしまうが、やっぱりヤツは、しつこい。ストーカー並である。しばらくブンブンしていたので、私もなかなか出られなかった。そして、最後のとどめ。疲れの見えてきたオトリ君。彼をいたわって、深い瀬から、下のチャラの瀬肩に移動。すると、すぐにアタリが！
竿を立てると、掛かりアユがバシャッ！見えたアユは、オトリに丁度いいサイズ。これは、丁寧に取らなければならぬ！と、竿の弾力を利用して、慎重にためる。
オトリの頭が見えてきた。もう少しだ。と安心した瞬間、竿がふっと軽くなる。？？？
水中糸が切れたか？と目印を空中に探したが、どうも見つからない。竿をたたんで確認すると、なんと、天上糸とつけ糸しか残っていない。普通、こんなところから切れないのに。
よく見ると、つけ糸の下に、編み付け糸が・・・滑って抜けてしまったらしい。
この仕掛け、実は、成瀬川で、酒豪の某オ○ムさんにもらったものである。0.1号のハイテク糸につけ糸が付いているだけの仕掛けなのだが、私が糸を木に引っかけて切ってしまったのをふびんに思った○サムさんが、分けてくれたのだ。
さっきまで使っていた糸を石にこすってしまったので、この糸に張り替えた途端のトラブル。ちゃんと編み込みを確認しなかった私が悪い！
仕掛けの準備不足で、0.5号のナイロンしか残っておらず、張り替えてやってみたが、オトリもバテバテ。アタリはそれ以上なかったのである。
S先生は、不調の匹見川で良型十数尾を釣り、名人の実力を見せつけてくれました。鮎狂さんも良型アユを結構掛けていました。
ただ私一人だけが、トラブル続きの貧果。25cmを上げたのは満足でしたが。
そういえば、アブに刺されたのは、一ヶ所だけじゃなかったようです。宿に帰ると、腕に3個所ほど、赤いポッチができていて、ぷくぅとふくれていました。半そでシャツしか持っていなかったので、余計に狙われたのかもしれません。やれやれ。宿に帰って、釣ったアユを焼いてもらい、ビールの肴にしました。
うまい！水がきれいな川のアユは、やっぱり違います。酒がすすんでしまいました。部屋に帰って、仕掛け作り。明日からの釣りも、楽しみです。