河川：那珂川 場所：鍋掛（栃木県黒磯市） 時間：11:00〜16:00
天気：晴れ 水量：減水 水温：22℃ 水質：やや濁り
人出：少ない 釣果：6尾（20〜25cm）昨日の伊南川があまりにも・・・だったので、江戸の敵を長崎で討つ、ならぬ、伊南川の敵を那珂川で釣る、ということになりました。
父の運転する車で、あちこち見ながら、どこにしようか。グルグル見てまわって、結局は、大田原の釣具屋さんで仕入れてあった、「鍋掛のアユはデカイよ」という情報と、父が先日いい思いをしたという体験から、鍋掛の昭明橋下のポイントに入ることにしました。
黒磯のポイントとしては、いつも混雑する場所ですが、今日に限っては、土曜日なのに人が少ないのです。またまた嫌な予感なのです。「このチャラがいいんだ」と父は岸壁の淵から続くチャラにオトリを泳がせます。
私はその下の平瀬の瀬肩に入って、表に出ている石を狙います。
元気なオトリにハナカンを通し、石の頭を目指して泳がせる。養殖でも、こういう平瀬では、ばっちり泳いでくれるのだ。根掛かりさせないように、慎重に目印を見て、瀬頭を横切らせる。
そして、目的地到着。野アユがオトリにアタックしてくれるのを待つ。じっと待つ。20秒、30秒。待っても来ないので、鼻に刺激を与えて、石裏のたるみに落とす。
石で分かれた流れが再び会う場所まで持って行き、そこからゆっくりと上らせる。よろよろ、という感じで目印が動く。あまり石に近づけすぎないようにして途中で止め、ちょっと待つ。アタリがないので、オトリにアクションをつける。張り気味だった水中糸を一瞬緩めて、オトリを前に出す。
目印は、抵抗がなくなって動き出したオトリの動きに追従して、すーっと上流へ。そして、ギューン！と一気に加速して走り出す！やったー！！開始して5分足らず。どんなもんだい、と父を見るが、自分の釣りに集中していて、気が付かない。ちょっと寂しい。
しかし、そんなことを言っている暇はない。大きいのか、引きがすごい。オトリを引っ張って、上へ、下へ。平瀬だったので、ずーっと下って取り込むなんてことはないが、寄せてくるまで、時間がかかる。やっとすくったアユは、22cmくらいの良型。一人でにっこり。さらに、このアユにオトリになってもらうと、一気に対岸に走って、一気の掛かり！ワオー！こいつもデカイ！今回は抜いたが、やはり22cmクラス。こんな良型が、こんなに入れ掛かって良いだろうか？
いや、良くない。連発で来たのは、この2発だけ。この後1時間ほど、アタリも何にもない。
下を見ると、後から来た釣り人が、大岩周りで入れ掛かりである。しかも、掛かっては下り、掛かっては下りをやっている。良型を入れ掛かりなのである。もうちょっとしたら、あそこをやろうと思ってたのに、とは、負け惜しみ。それでも、入れ掛かりは長くは続かず、5尾くらいでストップしたようだ。
それを見て、いいなあ、と思っていると、忘れたころに、1尾。これも20cmのまずまずの型。午前中は、これで終了となった。昼の休憩中に、地元のおじさんがやって来た。「2,3匹釣れれば良い方だね」と言いながら準備をしている。型は良いが、数は出ていないらしいのだ。それで、土曜日なのに、こんなに自由に釣りができるのか。
「釣ったアユで、ここでやってみたら、釣れんじゃねえか？」という父の勧めにしたがって、午後は、平瀬の上のチャラ瀬でやってみることにした。果たして、入れて10分。目印が一気に飛ぶ！掛かりアユは、上流に泳ぎながら、竿を絞る。小気味良いアタリ、小気味良い引き。そのまま竿を立てて、手元に寄せてくるが、それでも上に行こうと抵抗する。なかなかのアユだ。今度は、「釣れたよー」と父に声を掛ける。「やっぱり来たか」とにっこりである。
オトリを替えて泳がせるが、平坦な流れなので、狙いどころが分かりにくく、苦戦。対岸に、石が頭を出している場所があったので、そこに持っていってみる。
と、一発！今日のアユは、みんな引きがいい。アタリもいい。昨日の伊南川の敵は討てた、という気分になる。チャラ瀬では、この2尾で終わった。もっと来ると読んだのだが、甘かった。ヒマになってきたので、ずっと下に行ってみることに。
下りながら、午前中に、後から来た釣り人が入れ掛かりをさせていた場所にも入ってみる。が、釣りきられた後なのか、私がヘボだからか、掛からない。10分ほどでまた移動。
一直線の流れが左に折れる手前の、チャラ瀬の瀬肩が、黒く磨かれている。ここでやってみない手はない。元気なオトリを選んで、泳がせてみる。石が小さいので、見た目より流れが強いらしくて、竿を寝かせないとオトリが入らない。頑張れ、オトリちゃん。
その思いが通じて、ビビビのアタリ。でも、あれー、何か変だ。あんまり引かない。そりゃー、と一気に抜いてみると、アユはアユだが、15cmに満たないおチビちゃんだった。シーズン初期なら迷わずキープだが、大アユを見慣れている今では、あまり魅力を感じない。また今度、とハリを外して逃がしてやる。釣れるアユが大きいと、心まで大きくなるのである。（言い過ぎか）アユが小さかったので、この場所には見切りをつけて、さらに下に。プールになった下は、石が積まれていて、小さな堰堤のようになっている。落差1mくらい。その落ち込みに入ってみる。
流れのスジが3本あって、川幅20mくらいのところを、等間隔に分割している。石は、黒く磨かれている。じっと見ていると、時々キラ、キラ、とやっている。これは釣れそうだ。まずは、手前のスジと、その向こうのたるみから。姿勢を低くして、慎重に泳がせる。しかし、掛からない。
次に、真中のスジ。オトリを入れると、しばらくして、ギラッ！ギューン！と目印が水中に引き込まれる。やった！やられた！がほぼ同時である。いわゆる底バレというやつ。もう、惜しいなあ。
ハリを交換して、またしつこく狙う。スジと言っても、強い流れではなく、トロの釣りのようでもある。息が詰るような、神経戦だ。
そして、ついに、ガツ。・・・ん？掛かった？竿を立ててみると、やっと、目印が一気に水中に没する。わっ、来た！アユは、流れを突っ切って、スジの向こう側に回り込む。そして、なんと1mの落差を上らんとする勢いで、巻き込みに突入していく。わわわ、やめてくれ！と、こちらも必死で耐える。タイの三段引きというのは有名だが、アユも三段引き、いや、四段も五段も引くのである。その都度、糸が切れるんじゃないか、身切れするんじゃないかと、冷や冷やである。それでも、どうしようもないので、竿の弾力でタメて我慢する。すると、アユは、方針変更。今度は下流に一気に引っ張ろうとする。これに対しては、竿を寝かせて対応。これでアユを止めている隙に、自分は下に移動する。
こうなると、流石のアユも、行動範囲が狭くなる。まだ引き込む力は強いが、流れと竿の力によって、徐々に釣り人の方へ近づいてくる。最後の踏ん張りをされないように注意しながら、糸をつまんで、竿を肩に担ぐ。そろそろと糸を引き寄せてきて、水中で掛かりアユをすくう。
「でっかー」一人で感動してしまった。今年最大の25cmである。大事に陸で引き舟に移す。はあ。やったー。これで、今日来た甲斐があった。さっさとこの場所を引き払って、元の場所へ戻る。足取りは軽い。時間が早いので、途中でちょっと寄り道したが、落ち着いていられず、すぐに父の元へ。「もう、やめにするか」という父に、さっきのアユを出して、自慢する。へっへっへ。今日は、気持ち良く、終われたのである。
鍋掛では、何日か前に、28cmが出たという話です。時期が早いような気もしますが、信じられる気もします。これだけ型ぞろいの那珂川は、初めてです。父も、数は少ないながらも、良型を上げていました。
これから、もうちょっと雨が降って、水が回復すれば、面白くなる予感がしました。