河川：那珂川 場所：鍋掛（栃木県黒磯市） 時間：12:00〜16:00
天気：晴れ 水量：減水 水温：23℃ 水質：やや濁り
人出：少ない 釣果：2尾（20,26cm）今日は、昨日よりは人が多く、30m間隔で並んでいます。今度こそ、釣れる日に当たったかな？と、先に釣っている人に聞いてみると、「釣れねね」という愕然とする答え。それがカモフラージュでないことは、何人かが石に腰掛けてタバコをプカプカしながら釣りをしているので判る。もう、神奈川に帰らなければならないというのに。
川を見ても、ちょろちょろの流れに、青ノロがびっちり。釣れね、といった雰囲気をかもし出しております。とりあえず、時計は12時を指しているので、昼を食べてから釣りをすることにしました。食事中、周りを見回していましたが、だっれーも掛かりません。釣れなさそう、という気持ちが、増幅して行きます。
食事が終わって、一休みして、そぞろに竿を伸ばします。
今日も父と一緒。今年は米代に一緒に行くはずだったのだが、結局、連れて行ってあげることができず、気合い半分、落ち込み半分で、私と一緒に竿を出しているのだろう。
そんな父は、昭明橋の100m上の瀬の瀬頭あたりに陣取って、オトリを泳がせている。
私は、その上のチャラから始めることにした。渋い、渋すぎる。
減水でアユの警戒心が強そうなので、一所懸命身を低くして、静かーに釣っているのだが、それでも野アユはアタックしてこない。瀬とは違って、チャラはまだ青ノロが出ていない。所々、黒光りしている石もある。ギラギラもたまに見える。それでも、オトリには反応しないのである。
それでも、辛抱した甲斐があって、ようやく1回目のアタリ。1尾目と言わないのは、もちろん、バレたからだ。ぐーっと下流に引っ張られるのを、座ったままこらえて、抜き上げた瞬間、空中分解である。このショック、1尾目だけに、渋い釣りを展開していただけに、倍増するのだ。水中でのアユのナワバリ争いは、気配すら感じられないというのに、上空では・・・
ピィーーー、ヨロヨロヨロー。ピーヨロピーヨロ、ピー、ピー！ワッサワッサ。とんびのナワバリ争いが熾烈なのである。川をはさんで、右岸に陣地を持つ鳶の輔と、左岸をねぐらとする鳶の兵衛が、覇権を争って、追いあいをやっている。湖産アユはしつこいというが、とんびもかなりしつこい。時には、地上数メートルまで急降下しながら、爪で攻撃しあうのだ。
はじめは互角だった両者も、次第に力の差が見え始め、鳶の兵衛が自分のねぐらに閉じこもったきり出てこなくなってしまい、勝負あり。水中でも、こんな風にやってくれればいいのに、と思う。覇権争いをしないアユが掛かるのを、気長には待っていられない。下流の瀬に行って、勝負をつけよう。
途中で、瀬肩にいた父のところへ行くと、すでに1尾釣っていると。「すぐ来たよ」と余裕である。「それから来ねえけど」ということではあるが。
ちょっと焦る。足早に、さらに二人の釣り人の後ろを越えて、瀬の一番下に陣取る。
絶対釣ってやる！今日が最終日なので、気合いが入る。
が、瀬の中は、青ノロだらけ。ちょっと泳がせると、すぐ重たくなる。アユが掛かっているのなら嬉しいのだが、決まって青ノロがハリ掛かりである。慣れるまでは、黒っぽいのがくっついてるので、慌ててタモに手をやったりして・・・さらに、青ノロは、オトリのおしゃれにも使われる。おかしいな、と思って上げてみると、カツラをかぶってくるのである。色気づくのはまだ早い！とすぐにはぎ取って送り出すのだが、またすぐに別のカツラを見つけてくるのである。困ったものだ。そんな苦労をしながらも、やっと1尾目！のはずだったが、タメている途中に、バレ。アタリですぐに竿を立ててしまったのがいけなかったのか、すぐに外れてしまった。
気を取り直して、再開、とすぐに1尾目！のはずだったが、またやられた。どうも、焦ってしまうのである。いかん、いかん。
オトリもだいぶ弱ってきた。いいかげん、この辺で釣っておかないと、今日はボウズだ。
そんな弱気が見えたとき、ガッツン！よっしゃ！とすかさず竿を立てようとしたが、思いとどまり、ぐーっと引き込むまで待つ。耐える。今度こそ取らないと、大変だ。大事に、大事に、アユを一ヶ所に止めたまま、自分が動いて、糸をつまんで、タモですくう。緊張と疲れで、はあはあである。とりあえず、これでつながった。
早速オトリを交換して、瀬に入れてみる。さすがに、天然のオトリは良く泳ぐ。
が、それでも掛からない。ちょっとずつ動きながら、探るが、ダメ。うーん、と考えて、橋のたもとまで行ってみることにした。いつも、昭明橋の上から見ると、橋の上のトロでアユが泳いでいるのが見える。そこを狙おうと思ったのだ。
音を立てないように注意しながら、目的の場所に到達。瀬とは違って、青ノロは付いていない。しかし、アカはばっちり腐っている。ここまで来たけど、釣れるのかなー。
「釣れるのかなー」と思ってしまったときには、大概釣れないものである。気分も乗らないので、15分程で見切りをつけて、再びさっきの瀬に戻った。オトリは、ちょっと弱ったが、まだ大丈夫。手前はさっきオトリを入れたので、奥を狙ってみる。
待つこと十数分。来た！やった！すかさず竿を立てる、引きは強いが、抜いてやる！流れの緩いところに寄せて、抜く準備。
バチャッ。。。うわわー。背中からの風が強かったので、なかなか抜くタイミングがつかめず、躊躇していたときに、波の切れ目で空中に出たアユ。一跳ねで、さらばであった。やっぱり、ちゃんとタメて、大事にいけば良かった。
オトリは、クタクタになってしまった。再び養殖ちゃんに登場願い、オモリもつけて、最後の挑戦。
しかし、流れの荒いところで、しばらく泳がせていたアユは、底に入るのがやっと。引けば付いてこないし、オモリがあるので、糸を緩めることもできない。
最後の手段は、オモリを浮かせ気味にして、流れに乗せて、下らせながらの釣り。瀬の段の一つ一つを探る戦法だ。これをやると、オトリの弱りも早いのだが。
そうやって、一段一段下って、最後の段まで来てしまった。いい時間になってきたので、ここで釣れなければ、終わりにしようか。でも、まだ終わりたくない、という気持ちがあったか、最後の段で、ちょっと粘る。今までは下に送るだけだったが、横に動かしてみる。
と、ゴン！・・・ん？もしかして？ゆっくりと探るように竿を引っ張ってみる。ギュギューン！横走り。おおっ、来たぞ！
今度こそ、大切に取り込んでやる。その場で抜くのは危険、幸い、淵に落ち込む手前の、一番下の段だったので、無理せず、淵に落とす。こうなれば、どんなに暴れられても、あしらうことができる。
と思ったのだが、案外と、こやつが引っ張ってくれる。昨日と同じ、アユの三段引きである。やっぱり、瀬の中に上っていこうとするのだ。うわあ、また大物か？どっきんどっきんしながら、耐える。無理に持ってくると、外れる心配もある。
頑張っていると、ようやく姿が見えてきた。あれ？アユか？子供のコイか？と思うほど、でっかく見える。すうっと浮いてきて、反転した瞬間に、追い星が見えて、ほっとした。いや、ほっとしてる場合じゃない！反転した瞬間に、ハリを外された経験が、何度あることか。
外れてないか？ヒヤヒヤしたが、大丈夫なようだ。この最後の抵抗が功を奏さなかったため観念したのか、アユが、寄ってきた。やっと、やっと、糸に手が届く。震える指で、糸をつまんで、竿を肩に担ぐ。アユの重みが、直接手に伝わる。ゆっくりとたぐり寄せて、ようやくタモに入る。
でっけー！まじまじ見てしまった。
引き舟は、30mくらい上にある。そこまで持っていかなければならないのだが、水から上げたときに、一跳ねをしてくれて、びくっとした。慌てて岸に上がって、アユが弱るのもお構いなし。川から離れて、石の上を歩き、引き舟へ。またすぐに岸に上がって、両手で舟に入れる。ふう。やっと人心地ついた。これで大満足。すぐに竿をたたんで、元の場所に戻る。
釣果は2尾でしたが、好いアユが釣れたので、好い気分です。
まだ釣りをしている父の元に行って、強制的に自慢。やった、やった。最終日の最後の時間の、最後の場所で最後のオトリで、代打逆転サヨナラホームランでした。
家に帰って、すぐにメジャーを当てました。26cm。昨日の記録を、一日で更新。9月になったら、どんなになるんだろう、とワクワクしながら、神奈川へと帰ってきたのでした。