河川：川辺川 場所：境田橋下（熊本県相良村） 時間：9:00〜12:00
天気：晴れ 水量：減水 水温：測定せず 水質：澄み
人出：わずか 釣果：1尾（23cm）朝の5時。なんとか起きることができました。これから、宿のおじさんが、私たちのために入れておいてくれた網の引き上げです。
「元気なのに泳いでもらうとね」背が立たない場所にも網を入れてあるので、回収の時には泳がなくちゃいけないらしいです。熊本とはいえ、山間部の9月。朝はちょっぴり涼しいのです。水に入ったら、震えが来るかも。
案内役で苦労をお掛けしているmura1130さんには休んでもらって、Tさんと私がお手伝い。
おじさんの車で3分ほど。ヤブを抜けると、目の前は淵になっています。遠くの瀬音は聞こえますが、早朝の水面は、静まり返っています。おじさんが指差した方向に目を向けると、かすかに白い影が見えます。それが、網の目印です。
しばらく、川を見ていると、上流で灯りがちらちら。漁師のおじさんが、舟で自分の網を回収に来ているようです。
網を張る場所は決まっているらしくて、漁師さんは、私たちの姿を見つけると、こっちに寄って来ます。もちろん、ここにいるのが、アユの仲買人でもある宿のおじさんであることを知っています。
「○○さーん、△□×○☆ー」地元の人同士の会話は、さすがによくわかりませんでしたが、こちらの網も、漁師さんが舟で引き上げてくれるようです。全部で5尾くらいのアユが掛かっていました。広い川に、10m前後の網が数張り。しかも、小さすぎるアユは捕らないように、ある程度目が粗くなっています。我々友釣り師は、刺し網、刺し網と恐れていますが、思ったよりは捕れないということなのです。
魚が刺さったままの網を持って、車で1分。アユの集荷場です。
魚を網から外したり、絡まった部分をほどいたり、洗ったりと、Tさんと二人で助手の作業をしました。できの悪い助手でしたが。おじさんは、こっちの作業をしながら、漁師さんがアユを持ってくると、素早くサイズと捕り方ごとに仕分けしていきます。小さいもの（といっても、関東では十分な塩焼きサイズ）や、質の悪いものは、買い取れないので漁師さんの持ち帰りとなります。
活気あふれるその作業は、白熱灯の下で行われていて、寝ぼけ眼には、ちょっと幻想的にも感じられるのでした。本日の網の収穫は、小さくて持ち帰りとなったアユを漁師さんがくれたりして、10尾くらいになりました。最大のアユは、尺近く、お土産には、まずまずの戦果でした。
宿に戻って、朝食を済ませ、弁当を持って、出発です。おじさんが、出掛けに、「今日は、6時に上がって来んね。網入れっとから、おみやげ用に。自分のは自分でとらんと」
自給自足、自業自得。おじさんにばかり苦労は掛けていられないのです。今日は、まず川辺川。
はじめは、相良大橋の下に行ったのですが、アユの気配がしません。それもそのはず、どうやら夜の刺し網を入れた後らしく、ドンコのようなカジカのような魚が無造作に投げ捨てられています。「他行こう」となりました。
そして、mura1130さんに連れて来てもらったのは、下流部の境田橋の下です。
本当は、橋の上の瀬がいいらしいのですが、覗きに行ったら、チャラッチャラ。落差を落ちる水は、チョロチョロです。それでは釣れる気がしないので、橋の下のトロ瀬を釣ることになりました。
瀬肩のトロでは、コロガシのおじさんが一人、竿を出していますが、その下に入らせてもらいます。
昨日のオトリは、川辺川の水で回復したようだ。まずまず元気。
上流から、mura1130さん、私、Tさんと20〜30m間隔で並ぶ。「オトリじゃ、もう釣れんでしょう」という、コロガシのおじさんの言葉どおり、ウンともスンとも。大きい石が頭を出しているような、いかにも釣れそうな雰囲気なのだが。
しかし・・・
上にいるmura1130さんは、すかさず1尾。落ち着いた、手馴れた竿さばきで、アユを難なく取り込む。
下のTさんにも、ポツポツと掛かりだす。
すなわち、「もう釣れんでしょう」は、私だけなのだ。
こうなると、焦りが出てくる。焦れば釣れない。釣れないから、余計に焦る。のデフレスパイラルに落ち込むのである。すると、今度は前に出たくなる。減水時で川幅は狭いのに、どしどし立ち込む。さらに悪循環になる状況である。
でも、今回は、その立ち込みが良かったらしい。Tさんが釣れているのも、対岸の壁際なのである。どしどし立ち込んだのには、それも影響していたのだ。（と、後から理由付け）
今日のアユは、対岸にかたまっていたのか、真ん中近くまで入って、奥の石の下を狙っていた私にも、待望の1尾！やっぱり、引きは強烈だが、型はそれほどでもないらしく、竿を寝かせないでも、なんとか対応できた。
それから、やはり同じようなところで1尾追加。
しかし、2尾釣ってから、ぱったりとアタリが止む。下のTさんと、上のmuraさんは、ポツポツ掛けている。そして、釣れないときは、どんどん移動している。そこで、私も移動してみる。ずーっと下に歩いて、トロ瀬の下のチャラ瀬までやってきた。その下は、ドンと淵に落ちている。淵からさしてきたアユが着いていることを願って、来てみた。
弱ってきたオトリに頑張ってもらって、そのチャラを探る。バシャリ！という音もしない。さっきから、気にはなっていたのだが、ハミアトらしきものが見当たらないのだ。よくこんな場所で竿を出していたものだ。
ということで、しばらく竿を出してから、再びトロ瀬に移動。
戻ってみると、mura1130さんが、掛かったばかりのオトリを貸してくれた。よーし、これならば！
えーい！いけー！掛けて来い！という私の指令に、オトリちゃんは忠実であった。
ガリガリ！の感触。しっかりと、根掛かり。しかも、深い流心の向こう。とりあえずは、水に入って回収を試みたが、流れに歯が立たず。せっかく分けてくれたオトリなのに、元気だったのに、放流となってしまった。
mura1130さんも、Tさんも、物足りないようで、本流に行くことになりました。
帰り際に会ったおじさんの話では、この時期はトロがいいそうです。数は出ないけど、掛かればデカイ。それを狙うしかないと。このコーナーのトップへ このページのトップへ ホームへ戻る
河川：球磨川 場所：渡（熊本県球磨村） 時間：13:00〜18:00
天気：晴れ 水量：減水 水温：測定せず 水質：澄み
人出：少ない 釣果：7尾（24〜28cm）午後は、何箇所かまわって、ポイント探しです。それで落ち着いたのは、球磨川下りの乗船場がある渡。船着場の下に、相良橋があって、橋の上は広大なトロ。そこから駆け上がりになって、瀬。橋の下は、かまぼこが入ったトロ瀬、さらに数百メートル下の鉄橋まではトロと続き、鉄橋の下は、100m以上はあろうかという長い瀬。こんな場所です。
着いて、川を見ていると、アヒルが数羽手前のヘチで悠々と泳いでいます。のんびりとした、いい雰囲気です。ところが、「がうぅ、ぐわっ、ぐるるる、ばふ！」何をそんなに興奮しているのか、犬が、川のひとっ所を、夢中になってバシャバシャと飛びつき、ほじくり返ししています。しばらく見ていましたが、10分くらい、そうやっていました。飼い主の声で、しぶしぶそこを離れていきましたが、後で見に行っても、何があったのか、見当もつきませんでした。不思議なものを見ました。あ、これは、釣りと全然関係なかった。落ちはありません。この後も、この出来事に掛けた話もありません。閑話休題。
さてさて、Tさんと私は橋の上。mura1130さんは橋の下、と分かれて釣り始めました。
Tさんは、瀬肩の平瀬状になったところに入り、私はその下の瀬脇に立ち込んで、瀬を狙う。
1尾目は、割と早く来た。瀬肩にオトリを入れていたら、ガツン！ギュギュギュー！みぞおちくらいの球磨川にしては浅い瀬だが、石が細かいので、底流れが速い。ガチガチの竿が、見る見る半月になる。それでも、竿と仕掛けを信じて、竿がちゃんと上竿になるまでの5m下るだけで、強引にタメる。ふん、ふん、と鼻息も荒くなってきたころ、アユの方も観念したのか、手前のゆるい流れに寄って来た。そのまま竿先を岸の方に向け、フィニッシュ。24cmのアベレージサイズだったが、楽しませてくれた。
早速、オトリにして、また瀬を狙うが、しばらくの間、何の反応もない。そのころ、私の上にいたTさんは・・・
一人で入れ掛かり！昨日は、今年買ったばかりの重めの竿を使っていたようだが、どうも調子が出ないと、今まで使っていた竿に変更。それが効を奏したのか。
何しろ、私が見るたんびに掛かっている感じがする。軟らかめの竿なので、掛かると、ぐにゃーっと曲がっている。一見トロに近い平瀬に見えるが、やはり底石が小さいので、流れは相当のようだ。取り込みは慎重に、時間を掛けてやっている。ただし、後で聞いたら、切られたり、身切れしたりで、掛けても掛けても数が増えなかったとのこと。
そんなことが何回か続いて。
また掛けた。竿が満月だ。真黒に日焼けした顔に、白い歯が目立つ。「おお、また掛かった」何度も同じ光景を見せられて、やや落胆気味の私。再び自分の釣りに集中する。
こちらは、掛からない。Tさんはどんなアユを掛けたのだろう、とまた上を見る。
すると、まだやり取りしてる。さっきははるか彼方にいたのに、瀬の上まで引っ張られてきている。
瀬肩で止めることができず、瀬の中に入られてしまう。私のすぐ上にまで目印がやって来る。すくってあげようかとも思ったが、大物は最後まで自分で処理したいだろうと、応援するにとどめた。そして、いよいよ、タモに入った。
球磨川の瀬音で、声は聞こえなかったが、岸で取り込んだTさんが、しきりに呼ぶ。なんだろ？と行ってみると、「デッケー！」ついに出た！初めて見た！しゃっくりも止まる尺アユだ！すごいー！すーごいー！私もTさんに続けと、気合いを入れなおして、瀬に向かう。
ギューン！来た！来ました！さっきの24cmとは明らかに引きが違う。うわわー、と下るが、橋げたの手前で大きく掘れ込んでいて、10m以上下れない。がまん。切られるか獲るかの一騎打ちだ。私もアユも、耐える、耐える。先にギブアップしたのは、アユの方だった。次第に手前に寄ってくる。
最後の抵抗で、ゆるい流れに寄せてから暴れられたが、鬼にマッチ棒くらいの効力しかなかった。タモに入ったのは、28cmの大アユ。やった！でかい！尺ではなかったが、嬉しい。嬉しかったが、28cmではオトリサイズだ。躊躇なくハナカンを通して、流れに。デカイオトリをつけて、デカイアユを掛けるのが、球磨川の釣りだ。
デカイのが来れば、大喜びなのだが、ずーっとアタリも感じない。で、ふと上のTさんの方を見ると、なにやら苦笑いをしているようだ。竿を両手に持って、上に掲げている。どうしたのかなー？と良く見ると、右手と左手の角度が違う。
竿が、折れてしまったようなのだ。
私のそばに来て言うには、「掛かった瞬間に折れた」とのこと。さらには、さっきの尺アユをオトリにしたら、一発で切られたらしい。さすが、球磨川のアユ。と、Tさんの度量。
と恐さを教えられたとたんに、グググー！来た！瀬の中に引き込まれる！
下竿気味になっていたこともあって、ギリギリまで下がって耐えるのがやっと。竿は折れないか、とヒヤヒヤ。
「ほれ、がんばれ！」とTさんも応援してくれる。
歯を食いしばって耐えていると、アユの方が観念して、寄って来た。どんなおっきなアユだろうか？
糸をつまんで、タモを抜く。「あ・・・」小さい。なんと、20cmに満たない超小粒ちゃんである。グングン引いたのは、オトリだったのか。チビちゃん相手に、恥ずかしい・・・球磨川に来て、このサイズを持ち帰るのも気が引けるので、即放流。ここで今まで粘っても、なかなか数が伸びないので、移動することにした。
橋の下にいるmura1130さんの所に行って、「どうですか？」入れ掛かりはないようだが、まずまずのようだ。
どうしようかと迷っていたら、「これ使って、そこやってみらんですか」と、オトリをくれて、場所も教えてくれた。
勧められた場所は、橋のすぐ下のトロ。トロ釣りは苦手なのだが、瀬がダメなので、とりあえずやってみることにした。手前は流れがなく、釣りにくそうだったので、胸まで立ち込んでいって、流れのある場所を狙う。
Tさんの例があるので、水中糸はナイロンの0.8号。23,4cmの手ごろなサイズのオトリにハナカンを通して、流れに送り出す。
すーっと糸が水中に沈んで行き、目印が水面から10cmの位置に。そのままスムーズに上流に動いたかと思うと、ストン！と一気に水中に引き込まれる。「あら？」というのが、最初の感想。なんと、秒殺ならぬ、秒掛けである。「もう来ましたぁ」とmuraさんに報告。
胸まで立ちこんでいるので、取り込みがしにくい。腰くらいのところまで下がって、寄せに入る。大アユ独特の、三段引き。浮いたかと思うと、再び力いっぱい底に引き込む。「ウォッ、ワォッ！」とそのたんびにドキドキしながら、寄せてくる。
オトリを交換して送り出すと、入れ掛かり！また三段引き。ドキドキが、快感に変わる。楽しい。トロの釣りも、こんなに楽しかったんだ。
鈴子陽一さんの本に、目印の高さを変えるだけで、釣果が全然違う、という記述があったが、まさにそのとおりの現象を体験。しかも、ものすごくシビア。目印の高さが2cm違うだけで、止まったり、ゆっくり上ったり、早く上ったり。掛かるのは、ゆっくり上っているとき。だから、竿9m、仕掛け9m、水中部分3mで、手元から16mの先に付いている目印が、2cm以上ぶれないように、0.125%の誤差範囲内で操作しなければならない。名人たちは、こんなにしんどいことを、平然とやっているらしい。場所が良かったのが9割だけれど、そんな風に集中して釣ったおかげで、短時間ながら5尾を獲得。まんずまんずの釣果であった。
さて、釣りあがって、時計を見てみれば、6時。あぁぁぁっ！おじさんに、6時に上がって来いと言われてたんだ。
「やべっ！」とTさん。「おこられるぞー」とmura1130さん。しまったー。
今夜は、mura1130さんの同級生、Iさんも一緒に泊まって釣りをしたいとのことです。
その連絡もしなくちゃならないので、6時15分、宿に電話。おじさんがまだいてくれればいいのですが。
しかし、電話に出たのは、おばさんの方。「おじさんは・・・？」と恐る恐る聞くと、「もう出てったよ」うわー！ごめんなさーい！ということで、用件を伝えて、すぐに宿へ。宿に戻ってしばらくすると、おじさんも戻ってきました。「6時に来いゆうとったやろがぁ」そう言いながら、網を入れてきてくれたのです。ありがたいです。また、明日、5時起きです。