天気：晴れ 水量：減水 水温：測定せず 水質：わずかに濁り
人出：多い 釣果：1尾（23cm）
充実した熊本の釣りも、今日が最終日となりました。
飛行機の時間に間に合わせるのに、余裕を見て、宿を2時半ごろ出ることにしました。荷物を宅急便で送る手間などを考えると、釣り場を1時に上がらなければなりません。
最後は、どこに入るか？
宿を出発してまず向かったのが、中河原公園です。ここは、Tさんの仲間が本拠地にしている場所です。成田から「トシの趣味の部屋」のトシさんも、ここで寝泊りをして、アユ三昧生活を送っていたという場所です。
護岸の上を通る道に車を停めて、しばし観察しますが、今一乗り気になれません。
「三波迫の瀬の向こっ側行ってみらいですか？」ということになって、道を引き返します。
初日の一番最後に来た合流点下、三波迫の瀬ですが、そのときは右岸から入りました。車で河原まで行けて、楽なのです。でも、入りやすいので、人が溜まります。人が溜まると、アユが溜まりません。
向こう側は、「鉄塔を目印にして歩くです」と、初日にmura1130さんが言っていました。15分くらい、ヤブの中を歩くそうです。そのときは、数名の人が左岸にいましたが、ご苦労様です！と思ったものでした。
それが、今日は我々の番です。鉄塔の近くに車を止めます。すでに、2台の車があって、先に入っているようです。それでも、ここまで来たので、後を追って川に向かいます。 ヤブと言っても、そこには道がありました。車は通れませんが、人が通るには十分すぎる広さです。
大事なアユの入ったLサイズのオトリ缶を、Tさんと私の二人で持って道を下ります。大変ではありますが、へとへとになるほどではありません。
普段なら・・・
実は昨日、私は残った日本酒を飲みきってしまえ、mura1130さんは残った球磨焼酎を飲みきってしまえ、ということで、ちょっぴり飲みすぎてしまったんです。
朝起きてすぐのときはそれほどでもなかったのですが、車に揺られているうちに、だんだんとムカムカがやって来たのです。酷くはないけど、あまり動きたくない、という状態なのです。
そんな体調で、オトリ缶を持って、10分ちょっとも、急なヤブ道を下りて御覧なさい、です。川に着いて、オトリ缶を置いたところで、川見もそこそこに、その場に座り込んでしまいました。ふうー。
球磨の余韻に浸っているのか、三人ともしばし川を眺めています。
しばらくして、Tさんが、「あの上までなら、歩いて行けるな」といって、私を誘います。私は、「そうですね」と生返事をしましたが、まだ動けません。そんな私を尻目に、元気なTさんは、数百メートルも上流の瀬尻まで、岩盤でデコボコの河原をすたすたと歩いていきました。
mura1130さんは、「昨日の酒が、汗になって出てきとる」と。mura1130さんも、実は、二日酔いだったみたいです。その状態で運転までしてくれていたとは！
私は、コンビニで買った500mlのスポーツドリンクを飲み干して、ようやく少し動けるようになりました。
「ういー」と言いながら、竿を伸ばして、楽して釣れそうな、近くのガンガンにオトリを沈めます。オモリは5号。
5号のオモリでも、流心には、オトリが入らない。5号を2つ付けてもダメ。
このままでは、オトリが弱ってしまうので、手前の若干弱い流れに入れてみる。それでも、流し釣りのようだ。下ってはまた上って上からオトリを入れ、また下る。の繰り返し。
そして、ようやくムカムカが薄れてきたかな？という頃。ガガガグーン！元々オモリの重さと流れの強さでぐにゃっと曲がっていた竿が、さらに曲がる。水にモモまで入っていたが、急な傾斜に転びそうになりながら岸に上がり、ダダダーッと疾走！下で釣っていたおじさんに「すいませーん！」と声を掛けて、よけてもらう。そして、やっと自分がアユの下手に回り、引き寄せの体勢に。疲れたが、満足だった。
ところが、竿を立てると、すーっと寄ってくる。ん？さらに竿で寄せてきて、掛かりアユの姿を見て、少々ショック。ちと小さい・・・なんで、こんなに付いて下ってしまったのか？まあ、それだけ流れがキツイ、ということか。どいてくれたおじさんに見られないように、下流を向いて取り込む。
また同じ所に戻って、今度は流心の向こう側に入れるつもり。しかし、昨日と一緒で、またあと50cmが届かない。ゴロンゴロンと音を立てているような流れなので、今度こそ流されたらひとたまりもない。あれこれ試行錯誤するが、諦める。
ここで気づいたのだが、周りには2人の釣り人がいた。同じようなところを狙っている。でも、竿先がピンとしてる。でも、オモリは10号玉のようなドデカイのを2つもつけている。そう、竿からして違うのだ。私の竿も、ガンガンの剛竿なのだが、それよりもっともっと硬いのを使っている。おそらく、超硬の竿の穂先を詰めているんだろう。
そんな差を見せられているところに、KIKUさんから電話。「流れが強くて、オトリが入りません！」と泣き言を言うと、「私なら、沈むまでオモリを付けて強引に釣りますよ」うーむ。返す言葉もないが、そのためには、やっぱり強い竿がいるかなー。そして、釣れていない私を尻目に、「最上が絶好調みたいですよ」と。「○○で大アユが何十尾」なんて話をするのである。ガクーン、と来る。気分転換に、場所換えをした方が良さそうだ。
そういえば、さっき、Tさんが上の淵から戻ってきて、「釣れねー」と言って、下のトロ瀬に入っていった。今見てみると、ときどき竿が立っている。しかも、竿が立つたんびに、どしどし下っている。おお、いい。
というわけで、私もそのおすそ分けをもらいに、Tさんの上の瀬尻に入ってみる。
セオリー通りに手前から釣っていると、地元の人らしいおじさんが、「そこはさっき俺が立ってたところだから、もっと奥じゃないと釣れないよ」と丁寧に教えてくれた。「はい、そうですか」とそのまま前に進み、ヘソまで立ち込む。
ところが、底には拳大の石が浮石になって敷き詰められていて、底流れがキツイ。しかも、踏ん張ろうとしても、石がゴロゴロ転がるので、安定しない。本当に、あのおじさんは、ここに立っていたのか？
おじさんに負けるのは悔しいので、そのまま耐えて釣り、さらに奥に入っていったが、この流れにオトリも負けてきて、泳がなくなってしまった。そして、すぐに、浮いてきて、すぐに口をパクパク。消耗が激しい。
オモリを付けたりして、ごまかしごまかし使っていたが、ついにエラが動くのみとなってしまった。残りのオトリは、すでにさっきの瀬でグロッキーである。オトリがない。
たしか、オトリ缶に、昨日のオトリが何尾か残ってたはず。えっちらおっちら歩いて、オトリ缶へ。開けてみると、何尾かいたが、腹を返していないのは1尾だけ。それもなんだか弱々しい。でも、そのオトリにがんばってもらうしかない。
再び下に移動。今度は、Tさんの下に入る。その下には、mura1130さんもいる。
Tさんは、ずいぶん奥まで入って釣っている。それに倣って、私も立ちこんでみる。ところが、Tさんは股まで、私はずんずんもぐっていって、とうとう首まで入ってしまう。どう考えても、Tさんの股下が1.5mもあるとは思えない。ということは、Tさんがいるところが丁度馬の背になっているのか。さすが、ベテラン。場所の選び方が違うのである。
首まで入るような場所に来てしまったが、他に行くあてがあるわけじゃなし。酔い覚ましに水風呂に入っていると思えば・・・
私の立っているところは、瀬脇の流れがほとんど止まっている場所。流されてもそれほど慌てなくて済む。
でも、今回もまた、竿が届かない。Tさんがいいペースで掛けているのは、流心とその向こうだ。私も流心に入れたい。オトリが弱くてあまり泳いでくれないのでなおさら。でも、あと一歩踏み出すと、踏み出せない（？）足がつかないのだ。
それでも、爪先立ちになりながら、右手一本で竿を出す。下流にオトリを送って、引き上げる。しかし、テコの原理で、竿を引き上げようと右手を上流にぐっと引っ張ると、体がくるっと回転する。つまり、竿を引っぱり上げる力の方が、体を回転させる力よりも大きいということ。
・・・
竿の長さが9m、右腕の長さが0.6m、右肩から少し広げた左手までの長さが0.6m、底流れの強いトロ瀬でオトリを少し引き上げるのに必要な力を100gとする。このとき、全体の重心は、川底に着いた足と右肩を結ぶ線上にある。体に掛かる水の抵抗、竿及び右腕の重さは無視できるものとして、オトリを引き上げようとしたときに、右肩を中心として体が回転する場合、右肩より左側にある釣り人の浮力を考慮した重さはいくらになるか、答えなさい。ただし、体重は左手の先端に集中しているものとして考えよ。
・・・という感じだ。答えは、
竿でオトリを引っぱり上げるときの力のモーメントをTr、釣り人の体を回転させる力のモーメントをTf、釣り人の重さをWとすると、
Tr＝9.6[m]×100[g]、Tf＝0.6[m]×W[g]であり、
Tr＞Tf すなわち、960＞0.6WとなるWを求めればよい。
上の不等式から、Wは
W＜576[g] である。
首まで浸かっているので、ほとんど浮いている状態。この状態で体重計に乗ると、私の体重は600g弱なのである。それで、オトリを引き上げようと竿を上流に引っ張ると、体がくるっ、くるっと回転するのだ。
回転して、バランスを崩して、ちょっと流される。また元に戻って、竿を引っ張る。今度は、反対の手で水をかいて、バランスを取る。面倒なので、思い切って泳ぎながら釣ってみる。でも、ちょっと流される。また戻ってくる。そんなことの繰り返し。これでは体力が続かない。
岸に上がって、休みがてら竿を出す。体は楽だが、オトリも楽をして、冲に出ていってくれない。
Tさんは、順調に釣っている。数も出ているし・・・
また、にっこにっこしながら、竿をぐわーんと曲げて、下ってくる。私の上で取り込む。そして、こっちを向いて、ニカーッ！手招きをする。行ってみると、バーン！とタモにいるのは、尺上のアユだ！うわー！こんなに尺を手にするなんて。すごい。
「これは使っちゃダメですよ！」という私の言葉に、渋々引き舟にしまったのだが、「使うなって言うから使わなかったけど・・・」とやや不満げ。尺をも意に介さないとは。
さて、そんなことをやっているうちに、時間が来てしまった。ああ。
もうちょっと、と思いますが、キリがありません。最後の日は、河原で弁当を食べて、別れを惜しみます。
最後の日は、ちょっぴり二日酔いで、締まりませんでしたが、これもまたアユ釣り紀行の醍醐味でもあるのです。
尺アユは釣れませんでしたが、はじめて生きた尺アユを見られたし、mura1130さんとTさん、宿の方々のおかげで、楽しい時間を過ごせたし、できれば、もう少し水が多かったら、とは思うのですが、大満足！です。
一旦、宿に戻って、荷造りをして、宅急便を呼んでもらって、荷物を送ってしまいます。
そして、アユも。
宿を出て、熊本空港へ向かう途中で、熊本名産の馬刺しをお土産に買って、いよいよ、mura1130さんともお別れです。
本当に、ありがとうございました。来年も、また来ます！
ダム建設で、水に濁りが入るようになったという川辺川ですが、それでも、まだまだ日本有数の清流です。この川辺川の清い流れを、いつまで保つことができるでしょうか。あの川辺川の川辺の子供たちに、残してやることができるでしょうか。今を生きる我々の、未来への責任を感じずにはいられません。
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（ただし、釣り人はTさん） |
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